共に育みあう共育社会へ

学童保育での実践、地方でのキャリア教育、多世代間の学びなど『人の学び』に関わることの記録

世田谷区「ほっとスクール希望丘」

今日は久しぶりに小田急線経堂駅で降り、話題のほっとスクール希望丘へ。

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ほっとスクールは世田谷区の適応指導教室の名前。
世田谷区内すでに既存に2つほっとスクールがあるけれど、3つ目のこのほっとスクールは初めての「民営委託された」施設で2019年2月にオープンしたばかり。

 

初めて聞いた時「適応指導教室って民営委託するんだ!」ということに驚いた上、「あの”東京シューレ”さんが運営してるらしい!」と知っていたので、行きたいなーと思っていたところ、Facebookで友人が主催する見学会開催を知り、参加させていただいた。
代表の奥地さんや施設長の今井さん、事務局の中村さんに設立の経緯や、これまでの苦労、現状なども聞かせていただき、学びが沢山あった。


施設は、まず写真で分かる通り、とっても明るく、透き通ったエネルギーの施設。ここに子ども達のありのままのエネルギーが混ざり合ったら良いだろうなー。
ベランダには野菜などの苗があった。日当たりも良く育ちそう!

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通常、適応指導教室とか教育支援センターと呼ばれる場所は、市町村の教育委員会が管轄していて、本籍校に復帰できることを目標に運営している。基本的に学校に戻る前提なのだ。

 

しかし学校にいきたくないから不登校を選ぶ訳で「学校に戻らねばならない」って考えると辛い、苦しい。

当然ながら適応指導教室に行く子は少なくなりがちで、不登校児全体の1割程度だそう。そして、私立で不登校になると適応指導教室の対象外になることも多い。

※ちなみに適応指導教室の実態調査(文科省)の最新データはこちら

この「ほっとスクール希望丘」は、長年不登校の子ども達向けの場作りをしてきた『東京シューレ』が運営しており、他の東京シューレ同様、子ども達が主体で運営されている。

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入り口も明るい。f:id:tomomiakai:20190304110853j:image

 施設は世田谷区で用意し、内装は全て東京シューレ側で決めたそうで、全体的に暖かさが感じられて素敵。(ちなみに靴箱横のスノコに見えるのは、木ではなく柔らかい素材でこれにも驚き)

 

ほっとスクールに来てもいいし、家にいてもいい。

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勉強する時間もあるけれど、勉強をしなくてもいい。ミシンや工作道具もいっぱい。

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ゲームをしていてもいい。

ゲームは瞬時に色々な判断が必要だから脳をとても使う。ゲーミングPCも用意されていて、やるなら世界を目指すゲーマーになったらいいよ!と子ども達に伝えているそう。(そしてセッティングは子ども達がしたらしい。公的施設でこの設備うらやましい!)

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楽器もある。

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キッチンで料理をしてもいい。

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キッチンそばにあるソファも良い感じ!

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毎週月曜の午後は在籍する子ども達でミーティングをして、今後の予定を決めていく。

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既に予定ぎっしり。料理イベント多くて楽しそう!

2017年2月、「教育機会確保法」という法律が施行された。
詳しくは東京シューレさんが作られたページがわかりやすいのでこちらをぜひ。
この法律については、まだまだ知られていないと思うし、きっと不登校当事者のお母さんお父さんでも知らない人が多いのではないかと思う。

 

「学校に行かないのはおかしい」「学校に行くのが当たり前」という大人だらけの社会の中で学校に行けないことは「自分がおかしいからだ」「自分はどうせダメなんだ」と自己肯定感を下げてしまう子どもも多いし、実際に「不登校はよくないものだ」「休み癖がつくので連れてきてください」と学校の先生も言うことが多い。

でも、学校に行かなくても学ぶ機会は確保するし、それを行政も国もやっていこうね!社会で取り組もうね!と言う法律ができたのです。

この施設も、学校教育法に基づく学校ではなく、必ずしも学校復帰を目標とせず、それぞれの子どもの状況に応じて学びの機会を提供する平成28年12月(2016年)の教育機会確保法を元に作られた施設。

とっても空間も贅沢に作られていて、思い思いの過ごし方ができそうな広々施設です。
しかも、ランチなどは自分で用意しなくてはならないけれど、公的施設だから区民であれば無料で通える。


日本は幼稚園は私立設立の割合が61%、それが小学校に上がると1%、中学7%となる。幼稚園や保育園は私立や公立を見比べて一人一人にあった居場所が選べるのに、小学校になると公立しか選択肢がないと言うこと。
歴史の中で結果としてこうなったし、明治維新後の学校設立のおかげで今の形があり、日本人の協調性等の醸成もできてきたのだと思うけれど、価値観が多様化している世界の中で学びの選択肢が少なさすぎるという現実でもある。

こんな施設を作らなくても学校が変わればいい!と言う声もあるようだけれど、既存の仕組みや価値観が変わって行くには数十年かかり、学習指導要領だって10年に一度しか改訂できない。

学校に関わるシステムの変化を待っていたら子ども達はその間に卒業して行ってしまう。

 

フリースクールや私立の金銭的負担が難しい家でも通える、ほっとスクール希望丘のような施設が、もっと当たり前になりますように。


実は、施設内の青少年交流センターも見学させていただいたのだけど、ブログ記事が長くなってしまったので次のブログで。